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第18回 ペイシェント・アクティブ・フォーラム

がん患者からサバイバー、そしてがんを体験した生活者へ

~コロナ禍にどう対処し、アフターコロナの時代をどう生きるか⁉~

理事長

認定特定非営利活動法人
がんサポートコミュニティー

理事長

渥美 隆之

Takayuki Atsumi

第18回ペイシェント・アクティブ・フォーラム開催にあたって

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    がん患者さんの20~40%がうつ病を合併することや、うつ病の発生率は一般と比較し2倍以上になることが報告されています。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる医療環境の変化が、がん検診やがん治療に与えた影響は少なくありません。特に就労世代では、在宅勤務の増加など職場環境の変化も加わり、生活習慣の悪化などによる健康リスクの増大も指摘されています。
    2020年3月、国立がん研究センターはがん5年生存率について全部位・全病期で68.4%、ステージI期の乳がんやステージI〜III期の前立腺がんで100%と発表しました。今や時代は、がん患者からサバイバー、そしてがんを体験した生活者として捉えられるまでになりつつあります。
    今回はがん患者からサバイバー、そしてがんを体験した生活者として、コロナ禍にどう対処し、アフターコロナの時代をどう生きるかをテーマに掲げて考える機会にしたいと思います。
    COVID-19に限らず、未知の感染症が蔓延すると、不安と恐怖、隔離がもたらすストレス、偏見と差別、情報のもたらす社会不安と混乱といった心理社会的な問題が生じます。今、この時、どのようなことに留意しながらがんと向き合う人たちは生活していけばいいのか?家族はどのように支えていけばいいのかと悩みます。
    そこで一人目の講師に、小川朝生氏(国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長)を招いて、がん患者さんはもちろん、がんを体験した生活者はこうした問題にどのように向き合い、対処していけばよいかについてヒントを得たいと思います。
    2020年5月、最も評価の高い世界五大医学雑誌『Lancet』に、「COVID-19のパンデミックにより、がんの治療は優先順位を下げられたり、遅延が生じたり、一部の地域では継続できないということが生じた。患者は緊急時以外のすべてにおいて治療中断の危機に直面している」という論説が掲載されました。
    進行がんとして発見されると手術後に再発抑制のための化学療法が行われます。手術が困難ながんの場合は患者さんの生命予後を改善するように化学療法や放射線療法が行われます。COVID-19のパンデミックに伴うがん治療の遅延が患者さんに及ぼす影響は大きいことが英国の集団ベースのモデル研究から示されています。こうした困難に遭遇しながらも日本の医療機関は、患者さんへの治療を継続するために努力をしています。しかし、化学療法を受けている患者さんは強い不安を感じています。
    そこで二人目の講師に、渡邊清高氏(帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科学准教授)を招いて、今冬にインフルエンザと新型コロナウイルスによる感染症が同時に流行したときに備えて、今まさに治療中のがん患者さんはがん治療と感染症対策に臨めばよいか、がんを体験した生活者は普段の生活のなかで感染症対策として何に気をつければよいかについてヒントを得たいと思います。
    今回のフォーラムの開催にあたっては、COVID-19の感染拡大を防ぐ観点から無観客で収録、オンラインによる配信とします。インターネット環境下にあるパソコンやスマートフォンで全国各地から無料でどなたでもご視聴いただくことができます。

基調講演

小川朝生

国立がん研究センター東病院
精神腫瘍科 科長

小川 朝生

Asao Ogawa

基調講演ⅠChapter 01:04 20分

新型コロナウィルス感染症流行下での心のケア

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    新型コロナウィルス感染症により、私たちの普段の生活は大きく変わりました。さまざまな感染予防の取組みの一環として、「三密」等に代表されるソーシャル・ディスタンス(社会的距離拡大戦略)がとらえています。ソーシャル・ディスタンスは、人と人との密接な接触を避けて感染の機会を減らすうえで重要な方法です。しかし、一方で距離を取ることにより、人と会う機会が減る、帰省を控える、など交流の機会が少なくなっているのも事実です。社会的な交流の機会が減ることにより、寂しさやイライラする・なんとなく落ち着かなくなる、行動が制限されることへの怒りがわく、今後のことへの不安を感じるなど複雑な気持ちの変化も生じます。特に不安・緊張が続けば、心だけではなく身体も疲れます。中には、気配りをすることも面倒になったり、やりがいを感じなくなることも生じます。これらの反応はストレス反応と呼ばれる誰もが感じる身体の変化です。ストレス反応は小さい変化ではありますが、重なったり長期化すれば生活への影響も大きくなります。生活の中で「いつもと違う」と感じた際には、何気ないところで無理をしていないか、振り返ってみてはいかがでしょうか。

渡邊清高

帝京大学医学部内科学講座
腫瘍内科 准教授

渡邊 清高

Kiyotaka Watanabe

基調講演ⅡChapter 20:14 33分

新型コロナウイルス・インフルエンザ
がん治療と感染症対策に、必要なこと

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    2019年12月からはじまり、瞬く間に世界各地で流行が報告されている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、感染予防、制御、そして共存を見据えた新たな向き合い方が求められています。がん患者さんとサバイバーの方についても、普段の診療や家庭の過ごし方、通院や治療の継続について、不安なことが多いことと思います。刻々と変わる状況のなか、大切なことをまとめました。一般的な感染予防策(3密を避ける、手洗い、マスク)を行う・不特定多数の集まりでは距離(目安として1メートル)を確保する・体調が優れないときはしっかり休息する・心配なことは担当医に相談・受診する・ストレス解消、趣味を大切にすること、です。ワクチンや治療薬の開発が精力的に行われていますが、まずできることは、おひとりおひとりのしっかりした防御策です。「がん患者さん向けの新型コロナウイルス感染症とがん診療についてQ&A(がん関連合同3学会作成)」など、信頼できる情報源を活用して取り入れていきましょう。オンラインや電話、メールなど、気軽に交流できる機会をもつのも、こんな時期だからこそ大切ですね。

対 談

対談

聞き手

渥美 隆之

話し手

小川 朝生

話し手

渡邊 清高

対   談Chapter 52:53 26分

コロナ禍にどう対処し、アフターコロナの時代をどう生きるか⁉

以下の質問をQ&A形式でお話させていただきました。

Q1|渥美 ー 小川
コロナ対策中の今、入院中での精神的安定の保ち方は?
Q2|渥美 ー 渡邊
がんの化学療法中、コロナ感染症にかかりやすい程度は?
Q3|渥美 ー 渡邊
特に気をつける化学療法や治療薬剤はある?
Q4|渥美 ー 小川
感染を恐れて、通院や治療が中断した時、精神科へのご相談は?
Q5|渥美 ー 小川
不安に陥った患者への家族や身近な人の対応法は?
Q6|渥美 ー 小川
感染症流行で生じた人間関係の変化への対処法は?
Q7|渥美 ー 渡邊
マスクや手洗いは効果的な対策だが他に特別な対策法は?

今回のオンラインによるオンデマンド無料開催となった第18回ペイシェント・アクティブ・フォーラムについて、ご感想やご質問などをお聞かせください。お寄せいただいた質問については、ホームページ上でQ&A形式にて両講師の協力を得て回答させていただきます。なお、個別の治療法に関する質問には回答できません。